久慈の山

蔵の酒造り

酒造りの製造工程
選び抜かれた米と水、杜氏の技から生まれる日本酒

日本酒は、米・米麹・水を原料とし、アルコール発酵させて造られる醸造酒です。
微生物の働きを利用して造られるバイオテクノロジーとも言える日本酒。「一麹、ニ酛、三造り」と言われる日本酒造りには、厳選された材料と根本酒造400年の歴史にわたる蔵人たちの経験と技が生きています。
こちらでは根本酒造の酒造りの工程をご紹介いたします。

お酒の原料となる米は、玄米の状態から精米をします。玄米の外側を削り取る精米をし、磨き上げます。この精米の歩合によって、造られるお酒の種類も異なります。吟醸酒を造るには60%以下になるまで、大吟醸酒を造るには50%以下になるまで精米をします。
続いて、精米の終わった米の糖(ぬか)やゴミなどを取り除く洗米をします。洗米で使用する水も、当蔵元にある駒形神社から湧き出る地下水を使用。
洗米後は、蒸す前に必要な水分を米粒に与える浸漬(しんせき)を行います。米が蒸される為にちょうど良い吸水量を見極め、精米の歩合や米の種類によって細やかに浸漬の時間を調整しています。

水分を含んだ白米を蒸気で蒸します。根本酒蔵では最大で約900キロの米を蒸すことができます。蒸すことで麹菌などが活発に繁殖しやすくなります。米が蒸せたかどうか確認するために、米を押しつぶしてモチ状に練ったものを“ひねりもち”と言い、そのひねりもちの硬さ、弾力、手触り、透明度などを調べ、完璧な状態であることを確認したら、所定の温度まで蒸した米を冷まします。
蒸し米は麹造り、酒母(もと)、もろみの仕込みに使われます。

米が麹(こうじ)菌の繁殖しやすい温度になると、米を麹の繁殖に最適に管理された麹室(こうじむろ)に入れます。
作業をする杜氏は上半身裸になり、蒸米の済んだ米をほぐし(床もみ)、種麹をふりかけ、麹菌の繁殖した米を手で混ぜ合わせながらほぐします(切返し)。
最後に麹の品温を調節し(仲仕事)(仕舞仕事)、麹を造り上げます。

酒母は蒸し米、水、麹に酵母を加えたもので、もろみの発酵を促す酵母を大量に培養したもの。麹によって米は糖化し、糖化した米をアルコールに変える菌が「酵母」です。日本酒造りには、良い酵母が必要となります。文字通り「酒の母」と言える大切なものとなります。

酒母に蒸米と米麹と仕込水を加えて仕込みます。大量の物量を一度に仕込むと、酵母の増殖が間に合わないため何回かに分けて仕込んでいく方法が段仕込です。
三段仕込では、初添仕込み、仲添仕込み、留添仕込みの三段階に分けて仕込みます。
初日の初添では、酵母は、ゆっくりと増えていきます。 次の日は 『踊り』 と称して休ませ、三日目に、二回目の仲添を、四日目に、 三回目の留添をして仕込みは完了します。
仕込みの終わった酒はタンク内にて発酵させます。この作業で、酒の状態を一層高めると言えます。発酵中の酒からは炭酸ガスが発生し、熟成しながら旨みが増していきます。ここで二十日ほど発酵させます。

発酵を終えたもろみは、圧搾機で搾られ、酒と酒粕に分けられます。搾りたての新酒は、ろ過、加熱(火入れ)され、貯蔵されます。出来上がった酒は熟練の職人が味・香り・色などを確かめて、自信を持ってお届けできる品質かどうか確認します。
また製成後、一切加熱処理をしないお酒を生酒といい、製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理するお酒を生貯蔵酒といいます。

出来上がった酒は工場内で洗浄された瓶に詰められた後、不純物がないか、瓶に傷がないか等ひとつひとつ丹念にチェックされます。その後ラベルを貼り、ケース詰めや化粧箱への梱包の後に出荷されます。